カフェ経営、儲けるだけじゃなく大切なのは?長く続けるための個人カフェの売上の考え方
お気に入りの空間で、こだわりのドリンクを丁寧に淹れる。
街の片隅で、小さなカフェを営みながら、好きなものに囲まれて働く――。
そんな暮らしに憧れ、「いつか自分のお店を」と考えている方も多いのではないでしょうか?
でも、開業を考えたときに、 こんな不安がよぎることはありませんか?
・ 本当にカフェで食べていけるのか?
・ 売上はどれくらい必要なのか?
・ 安定して続けるにはどうすればいいのか?
「好きなことを仕事にする」という夢を現実にするためには、お金のこと、経営のことをしっかり理解すること が大切です。
実際にカフェを始めた後には、
・ 思ったよりお客様が来ない…
・ 毎日の売上が安定しない…
・ メニューや価格設定に自信が持てない…
といった悩みに直面することもあります。
では、成功しているカフェオーナーは何が違うのでしょうか?
実は、長く愛されるカフェを続けている人たちは、 開業前にしっかりと学び、準備しているという共通点があります。
・ 売れるメニューや価格設定を考えられる
・ ターゲットや立地に合った収益プランを立てられる
・ SNSや販促で集客の仕掛けができる
・ 経験者から現場のリアルを学んでいる
「好きなこと」だけでは続けられないからこそ、 開業前にどれだけ実践的な知識と経験を積めるかが大切 です。
では、カフェを続けるために、どれくらいの売上が必要なのでしょうか? オーナーの収入はどのくらい確保できるのでしょうか?
カフェを安定して続けるために、 「経営の数字を知ること」 はとても重要です。
今回は、 個人カフェの売上目安やオーナーの手取り について、 具体的なシミュレーションを交えながら解説していきます。
目次
1. 個人カフェの売上目安
「個人カフェを開業すると、どれくらいの売上が必要?」
「オーナーの手取りはいくら?」
カフェ開業を目指す方にとって、経営の数字を把握することはとても重要です。
今回は、10坪・15席の個人カフェをモデルに、損益分岐点(赤字にならない最低限の売上)とオーナーの収入目安で考えていきましょう。
損益分岐点とは?個人カフェの最低売上を計算
損益分岐点とは、「売上と経費がちょうどトントンになり、利益がゼロになる売上」のことです。
つまり、この金額以上売上を出さないと赤字になるという重要な指標です。
個人カフェの場合、まずはこの損益分岐点を超えることが安定に経営することができるラインです。
損益分岐点の計算式
固定費 ÷ 限界利益率(1 – 変動費率)
損益分岐点を求める計算式に出てくる 「限界利益率」 とは、売上から 食材や水道光熱費などの変動費を引いた後に、残る利益の割合 のことを指します。
限界利益率の計算式
限界利益率 = 1 − 変動費率(原価率+水光熱費+消耗品費 など)
個人カフェの損益分岐点を計算
今回は10坪・15席の個人カフェをモデルに、損益分岐点(赤字にならない最低限の売上)と手取り20万円を確保するための売上を計算してみました!
毎月の固定費(変動しない費用)
・ 家賃:12万円
・ 雑費(通信費や消耗品など):1万円
・ 合計:13万円
変動費(売上に応じて増減する費用)
・ 原価率(食材・ドリンク仕入れ):30%
・ 水光熱費:5%
・ 消耗品費(テイクアウト用のレジ袋や洗剤など):1%
・ 合計(変動費率):36%
損益分岐点の計算式
固定費 ÷ 限界利益率(1 – 変動費率)
計算: 13万円 ÷ 0.64 = 約20万円(最低必要売上)
1日あたりの売上目標
・ 24日営業の場合 → 1日約8,400円
・ 客単価1,000円なら1日9人の来店でOK!
「1日9人なら達成できそう!」と感じる方も多いのではないでしょうか?
カフェオーナーが手取り20万円を確保するには?
個人カフェを経営するなら、生活費として最低20万円の手取りは確保したいところ。
その場合、いくらの売上が必要になるのかを計算します。
必要な固定費(生活費込み)
・ 家賃+雑費:13万円
・ 手取り(給与):20万円
・ 合計:33万円
変動費(売上に応じて増減する費用)
・ 原価率(食材・ドリンク仕入れ):30%
・ 水光熱費:5%
・ 消耗品費(テイクアウト用のレジ袋や洗剤など):1%
・ 合計(変動費率):36%
必要な売上の計算式
(固定費+欲しい手取り) ÷ 限界利益率
計算: 33万円 ÷ 0.64 = 約52万円(必要な売上)
1日あたりの売上目標
・ 24日営業の場合 → 1日約2万2千円
・ 客単価1,000円なら1日22人の来店が必要!
「22人って結構大変かも…」と思うかもしれませんが、8時間営業なら1時間に約3人の来店でOK!
こう分解すると、意外と現実的に思えるのではないでしょうか?
個人カフェの売上とオーナーの平均年収
実際に、個人カフェオーナーの平均年収はどれくらいなのでしょうか?
カフェの営業利益率は10~20%が一般的。
売上から経費を差し引いた後に、オーナーの手取り(年収)が決まります。
売上別のオーナー年収目安
年間売上の目安 | 利益率10%の場合の年収 | 利益率20%の場合の年収 |
900万円 | 90万円 | 180万 |
1,200万円 | 120万 | 240万 |
1,500万円 | 150万 | 300万 |
2,000万円 | 200万 | 400万 |
一人営業のカフェで年収300~500万円を目指すなら、月に100~150万円が目安です。
3. カフェの売上を伸ばす方法
1. 席数に頼らず売上を増やす
カフェの売上を伸ばすには、お店の席数だけに頼らない方法を考えましょう。テイクアウトメニューを充実させるのは効果的です。
たとえば、コーヒーや紅茶だけでなく、オリジナルの焼き菓子やサンドイッチを販売すると、お店の売上アップにつながります。
また、コーヒー豆や茶葉をパッケージ化して販売するのも良い方法です。さらに、料理教室やワークショップを開催すると、新しいお客様が増えるきっかけになります。
2. 売れるメニューを作る
お客様に喜ばれるメニューを作ることが大切です。
定期的にメニューを見直し、あまり注文されていないものがあれば、改良したり、思い切って新しいメニューに変えたりしましょう。
食材の切り方や盛り付けを工夫するだけでも、見た目が変わって新鮮に感じられます。ランチセットやデザートセットを作ると、客単価が上がりやすくなります。
「このお店といえばこのメニュー!」という人気メニューがあると、リピーターも増えやすくなります。
3. 適正な価格を設定する
価格設定も、売上に影響を与えます。
メニューの原価を見直し、利益がしっかり出る価格になっているか確認しましょう。
フードやドリンクの原価率は30%以下が理想です。また、仕入れ先を見直すことで、コストを下げられることもあります。
送料やポイント還元なども考慮しながら、お得に仕入れられる方法を探しましょう。
4. 経費を削減する
売上を増やすだけでなく、無駄な経費を減らすことも大切です。
通信費のプランを見直したり、電気やガスの契約を変更したりするだけで、毎月の支出を抑えられることがあります。
人件費を削減するために、業務の効率化を考えるのもおすすめです。
小さな経費の削減が、最終的には大きな利益につながります。
5. お店の雰囲気を変えてみる
お店の内装や外観を少し変えるだけで、新しいお客様が増えることがあります。
たとえば、観葉植物を置いたり、照明を工夫したりすると、おしゃれで居心地の良い空間になります。
外観も、看板のデザインを変えたり、手書きのメニューを置いたりすると、通りがかりの人が興味を持ってくれることがあります。
また、テイクアウト専用のカウンターを作ると、より多くのお客様に利用してもらえるかもしれません。
6. 営業時間を工夫する
営業時間を少し変えるだけで、売上が伸びることもあります。
たとえば、夜にバー営業を始めると、新しいお客様が増えるかもしれません。
ランチタイムには、お弁当を販売するのも良い方法です。
営業日を増やすことで、売上の安定化にもつながります。
7. SNSを使って集客する
SNSを活用すると、広告費をかけずにお店を知ってもらえます。おしゃれな写真を投稿したり、ストーリーズや動画を活用したりすると、より多くの人に見てもらえます。また、お客様が投稿した写真をリポストすることで、口コミの効果を高めることもできます。イベントや他のお店とのコラボ企画を行うのも、新規顧客を増やす良い方法です。
8. Googleビジネスプロフィールを活用する
Googleビジネスプロフィールを使うと、検索結果にお店が表示されやすくなります。
店舗の最新情報や写真を更新することで、お店の魅力を伝えやすくなります。
また、口コミに返信することで、信頼度を高めることができます。
ブログやECサイトを活用して、カフェの魅力を発信するのもおすすめです。
3. カフェ開業の目的は「儲けること」? それとも「自分らしく生きること」?
カフェを開業するとき、考えがちなのは「いくら儲かるのか?」ということ。
でも、 「自分が無理なく心地よく続けられる売上」 を考えることのほうが大切です。
最近では、本業とは別に 週末だけのカフェや、副業として小さなカフェを持つ人も増えてきました。
「大きく稼ぐこと」よりも、暮らしや毎日の生活を少しだけ豊かに彩るためのカフェ開業という選択肢もあります。
ただ利益を追うものではなく、 「自分の好きなことを仕事にしながら、無理なく暮らせること」 を考えましょう。
では、 「心地よく続けられる売上」 とはどれくらいでしょう?
・ 自分の生活費はいくら必要か?
・ 固定費(家賃・光熱費など)はどれくらいかかるか?
・ 1日に何人のお客様が来れば、無理なく運営できるか?
売上の目標は、誰かと比べるものではなく、 自分の暮らしに合ったものを考えるのがポイント。
大きく稼ぐことよりも、 「好きなことを続けながら、自分のペースで暮らせるカフェ」 をつくることが大事です。
自分らしく働けるカフェをつくるために
売上の目標を決めることは、カフェを続けていくための 「暮らしの設計」 でもあります。
無理のない範囲で、自分の理想の働き方を実現するために、 まずは数字を整理してみることが第一歩。
カフェズライフでは、 「自分らしく働く」ために必要な売上の考え方 や、
利益をしっかり確保しながら、心地よく暮らせるカフェ経営の方法を学ぶことができます。
「儲かるカフェ」を目指すのではなく、 「自分のペースで心地よく暮らせるカフェ」を目指す。
そんな開業の準備をしっかり進めていきましょう。
まとめ
カフェを開くとき、 「どれくらいの売上が必要?」 や 「オーナーの手取りはいくら確保できる?」 といった数字を知ることはとても大事です。
今回の記事では、 10坪・15席の個人カフェをモデルに、最低限必要な売上や安定して経営するための売上目標を計算しました。
カフェ開業を考えるとき、 「どれくらい儲かるのか?」 も気になるところですが、 それ以上に大切なのは「無理なく、心地よく続けられる売上」を考えること。
あなたの理想のカフェを、「好き」だけで終わらせず、 長く続けられるお店にするために。
しっかり学び、準備をして、一歩ずつ夢を形にしていきましょう!